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学校長からの言葉
(平成25年度)

ご挨拶 学校長 越田 佳孝

2014年01月09日

 同窓会のみなさまには、日頃から本校の教育活動にご理解とご協力を賜っておりますことに厚く御礼申し上げます。
 平成26年の新しい年を迎えました。職員・生徒ともども、新春の清新な気分のなか、さらなる一歩を踏み出す決意をかためております。これまで以上のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 さて、年末の12月18日に、同窓会のみなさまのご支援による「洲高生輝き基金講演会」を開催しました。この事業は、洲高生の未来への輝かしい成長のために、同窓会の積み立てた基金(洲高生輝き基金)からの支援により、各界の著名な方を招聘して話しを聞く機会を作っていただいている事業であると聞いております。あらためて同窓会のみなさまの本校教育の充実のためのご支援について感謝申し上げます。

 講演会は、「人生の決断に遭遇した時にどう行動するか」と題し、スポーツ評論家の二宮清純(せいじゅん)さんに講演いただきました。
 講演の要旨は、「準備なくして勝利なし」、「頑固で柔軟たれ」の二つです。
 「準備なくして勝利なし」。二宮清純さんは、スポーツだけでなく全ての分野で勝利するためには「準備」、どれだけそのことに対して備えたかという「構え」の大切さを、2020年オリムピック・パラリンピックの東京への招致作戦から著名なアスリート個人の取組と、具体的な例をひいて話していただきました。

 まず、2020年の東京オリンピック招致作戦です。マドリッド(スペイン)、イスタンブール(トルコ)を向こうにまわして招致を獲得しようというのですから、東京は不利に立場にあります。なぜなら、東京は1964年に一度開催しているからです。強敵はイスタンブール(トルコ)。もし、イスタンブールに決定すれば、中東で初ということになります。しかも、イスタンブールはアジアとヨーロッパとの結節点です。そういう点から有利です。
 そこで東京は、欧州の貴族的雰囲気を残すIOC委員の「琴線」に触れる作戦を立てたのです。プレゼンテーションで使った言語、フランス語です。高円宮妃殿下の気品のあるフランス語と英語、そして滝川クリステルの本場フランス仕込みのフランス語です。聞く人をして包み込むようなフランス語は、近代オリンピックの父、クーベルタン男爵の母語なのです。二宮清純さんは、オリンピック招致の最後のプレゼンテーションを「国際語」として世界を席巻している「英語」ではなく、敢えてフランス語を使うことにより、欧州人が多数を占めるIOC委員のオリンピックへの郷愁を誘い、「その精神を継承するのが東京であること」を言外にアピールしたといいます。

 次は、サッカーの話。2010年のサッカーW杯の南アフリカ大会で、日本は“on target”率(シュートがゴールを捉えた率)は59%で第1位だった。それは南ア大会で使用されるアディダスのシャブラニというボールを、どこの国よりも早く取り入れて準備にかかったからといいます。生徒たちは、会場への質問も交えての二宮清純さんの話に釘付けです。
 さらには2000年シドニーオリンピックの高橋尚子「陣営」の用意周到な金メダル獲得作戦など、全てがエビデンスペーストで、具体的に話しをしていただきました。最後には、仏の細菌学者ルイ・パスツールの「準備なき者には偶然すら訪れない」を紹介していただきました。

 もう一つの話の主題が「頑固で柔軟たれ」です。二宮清純さんは、「頑固あり、かつ柔軟である」ということが成功に至る道だといいます。「頑固」と「柔軟」。一見すると矛盾しているこの二つの資質が成功するには大切なのだというのです。一流になるにはまず“skill”よりも“will”が大切だ。“will”のために“skill”がある。決してその逆ではないといいます。そのためには自分自身をしっかり持つこと。“identity ”ですね。「頑固」なくらい自分という意識をしっかり持つ。しかし、他人の意見にも「柔軟」に耳を傾けることもできる。それが成功の条件だといいます。納得ですね。

 二宮清純さんは人間には5種類あるといいます。まず、超一流の人、大リーグのイチローなどがそうです。全てに完璧、パーフェクトなのです。次が「失敗を活かせる人」で一流。その次が「同じ失敗を繰り返してしまう人」。これは二流。しかし、失敗の経験値が活かせます。そして三流は「失敗は気にしない人」。最後に四流で、「失敗をおそれ何もチャレンジしない人」。これだけはどうしようもない(笑)といいます。

 最後に、時間は全てに平等、しかも、二度と帰ってきたりはしない。自分の将来を見据え「今、すべきことに集中して」といいます。合い言葉は「Be prepared.(常に備えよ)」です。

 講演の後、二宮清純さんは次の予定があるため駆け足で洲本高等学校を後にされました。生徒たちの拍手は、二宮さんが体育館を出て、姿が見えなくなるまで鳴り止みませんでした。生徒たちにとっては、生涯忘れることができない、素晴らしい体験をさせていただいたと感謝しています。

ご挨拶 学校長 越田 佳孝

2013年10月24日

 同窓会の皆様には、日頃から本校の教育活動にご理解とご協力を賜っておりますことに厚く御礼申し上げます。今回は洲本高校の「キャリア教育」のお話をさせていただきます。

 9月27日(金)に「平成25年度県立洲本高校職業研究ワークショップ(1年)」を、10月8日(火)には「平成25年度県立洲本高校学問研究ワークショップ(2年)」を行いました。
「あれっ? この事業、同じ事業でないの?」と思われる方もいるかも知れません。9月に行ったのは1年生を対象とした「職業研究ワークショップ」で、10月のは2年生を対象とした「学問研究ワークショップ」です。「職業研究」と「学問研究」。違う事業なのです。

 この2つの事業は、洲高独自の「キャリア教育」として、県教育委員会が平成17年度から「高校生就業体験事業(インターンシップ推進プラン)」を実施した頃から続けているのです。
「キャリア教育」という言葉は、今でこそ広く知られていますが、この言葉はそんなに古い言葉ではありません。「キャリア教育」の初出は、平成11年の中央教育審議会の答申(「初等中等教育と高等教育との接続の改善」)といいますから、教育用語としては比較的新しいのです。審議会の答申では、「望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身に付けさせるとともに、自己の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育」とされています。端的にいえば「児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる教育」です。

 現在、「学ばない子どもたち」「働かない若者たち」への対応が、教育の大きな課題となっています(内田樹『下流思考』講談社2007等)。特に「働かない若者たち」の問題は、目の前の進路指導におわれるあまりに、自分は将来何になりたいのか、何をしたいのか、そのためには大学へ進学しなければならないのか、専門学校でもよいのか、すぐに就職する方がよいのかをしっかり考えさせ、社会の変化に対応して、学校から社会への移行を円滑にする術を適切に講じてこなかった、これまでの「進路指導の在り方」が問われているのです。要するに学校と社会との接続、「学校から社会への移行(トランジッション)」が以前ほど上手く機能しなくなったということです。

 「学校から社会への移行」を円滑に行うためには、学校と社会との接点を、意図的に広げていくことが必要です。現在、本県の教育委員会が推進している、小学校3年生の環境体験事業、小学校5年生の自然学校推進事業、中学2年で行う地域に学ぶ「トライやる・ウイーク」、高校1年でのふるさと貢献活動、そして高校2年での「高校生就業体験事業 ~インターンシップ推進プラン~」など、本県教育委員会が推進している体系的な体験活動(兵庫型「体験活動」)は、学校と社会との接点を意図的に広げていこうという取組でもあります。

 9月27日の「職業研究ワークショップ(1年)」では、営業・事務、金融、公務員、教職、保育・幼稚園、看護・医療、福祉、観光・サービス、調理・栄養、技術・研究、薬学の計11種の業種・職種について、将来就きたい職業(仕事)を具体的にイメージできるように、洲本高校のOBの方々を講師にお招きして開催しました。私も「教職」の講師として参加しました。
 確かに、本校の生徒はほとんど全てといってよいくらい大学に進学します。しかし、大学に進学したとしても、いずれは社会人としてそれぞれ仕事に就くのです。そういう先を見通して、今、自分が何をしなければならないかを選択していける能力、それがキャリア教育の目指すものなのです。

 独立行政法人労働政策研究・研修機構主任研究員の 小杉 礼子さんも「キャリア教育とは、これまでの自分の在り方と今後の展望を意識して、現在の選択をしていける能力の育成である」 (「フリーターとは誰か」『現代思想』2005.1月号) といっています。1年生は、この2学期から、大きく文系か理系か、そして○○系なら選択教科や科目を何にするのかを決めなければならない時期になります。そういう時期に、講師の方から、それぞれの仕事内容について、具体的にお話いただけることは、生徒の進路選択にとって極めて有意義な取り組みです。

 また、10月8日の「学問研究ワークショップ(2年)」は、1年生を対象とした「職業研究ワークショップ」の延長線上に行われているものです。教育、心理、外国語、経済、工学、化学、薬学、看護、食物・栄養、就職・公務員、専門学校の計11種の講座系統ごとに、大学・専門学校の教授・講師の先生方をお招きし、約90分の講義をしていただきました。それぞれ自分の進路と見定めた学問領域に、それを専門とする大学等の先生の講義をつうじて、その一端に触れることができます。そうすることで、自分は、上級学校に進学して「何を学びたいのか」、「大学で学ぶということ」はどういうことなのかを具体的にイメージできるようになります。いわゆる「受験勉強」に積極的な意味づけができるのです。

 「若者は社会に出会うことなくして、自分で会うことはできない」といいます。洲本高校が1年で実施している「職業研究ワークショップ」は、生徒が「職業」ということをとおし、「自分」に出会えるようにする取り組みです。さらに2年での「学問研究ワークショップ」は、キャリア教育のいう「これまでの自分の在り方と今後の展望を意識して、現在の選択をしていける能力」を育成する取り組みです。その二つの取り組みを系統立てて実施してきたところに、この事業を企画し、実施してきた本校の「先達」の素晴らしさを感じます。
 同窓会の皆さまには、今後ともより一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

ご挨拶 学校長 越田 佳孝

2013年09月30日

 同窓会の皆様には、日頃から本校の教育活動にご理解とご協力を賜っておりますこと、あらためて厚く御礼申し上げます。

 9月19日(木)、さわやかな秋空の下、第66回県立洲本高等学校体育会(全日制)を、翌20日(金)には「十六夜の月」のもと、平成25年度体育祭(定時制)を行いました。
 全日制、定時制ともに、育友会長はじめ役員の方々、同窓会長はじめ役員の方々、保護者や地域の方、OBなどたくさんの皆さんにおいでいただきました。特に、定時制では地元川西地区の「みどり会」のお年寄りのみなさんが多数来場していただき、玉入れ・綱引きなどの種目に参加していただきました。

 第66回体育会(全日制)のプロクラムは入場行進で始まります。先導は体育委員長。彼がまたきりりとして凜々しいのです。続いて校旗を生徒会長が掲げ、国旗・生徒会旗は生徒会役員がささげ持ちます。後は3年生からクラスごとに、プラカード(女子体育委員)、クラス旗(委員長)、生徒の順に入場します。足並みもしっかり揃い元気いっぱいです。本部・来賓席にさしかかると、クラスごとに男子体育委員が号令をかけます。「かしら~(この号令で右手を左胸にあてがいます)、みぎ(手はそのままで顔を右方向(指揮台)へ向けます)」。その敬礼に対して私も指揮台から右手を胸にあてがい答礼します。なかなかの様式美です。
 開会式では、国歌を斉唱し、国旗の掲揚を行います。以下は私のあいさつ(要旨)です。

 さわやかな体育会を迎えました。保護者・地域の皆さまには朝早くからお集まりいただき厚く感謝申し上げます。さて、生徒の皆さんは先週の予行演習に比べると格段の進歩・成長を遂げました。特に3年生が素晴らしい。体育の成果を発揮する「体育会」の名の通りの行進でした。しかもそれ以上に洲高の体育会の在り方を後輩にしっかり伝えていくぞという強い意志を感じました。「伝統」というものはこうやって守り、伝えられていくのです。伝統とは「行事」を繰り返した「年数の長さ」ではありません。伝統をして伝統たらしめているものは、毎年繰り返す同じ行事に、絶えずその「意義」を再確認し、そこに新しい「こころ」を吹き込み続けていく、私たち教職員や生徒の皆さんの「営み」にこそあります。その先駆けが3年生です。

 1年生はこうして洲高での一つ一つの行事を経験することで「洲高生」になっていきます。2年生は「洲高生」としてさらなる高みを目指します。その一つが予行演習での綱引きの予選に現れていました。3年生に対するむき出しの「闘志」です。3年生は入学以来「今を大切に」を合い言葉としてきたと聞いています。「今を大切に」はラテン語で「carpe diem(カルペ・ディエム)」といいます。古代ローマの詩人、ホラティウスの有名な句で「一日の花を摘め」ということ。花を摘むなら、その時は今。明日は枯れてしまうかもしれないからです。英語では「seize the day.(シーズ・ザ・ディ)」といいます。3年生は卒業まであと半年です。これからは行事を行うたびに「最後の○○」という言葉を頻繁に聞くことになるでしょう。だからこそ「今を大切に」、「カルペ・ディエム」です。未来は、一つ一つの「今」が積み重なったものです。今日は第66回体育会。私も出場します。ともに楽しみましょう。

 第66回県立洲本高等学校体育会の午後のプログラムの一番は、体育部デモンストレーションです。各部の行進を迎えるために指揮台に登り、後ろを振り返り観客席を見てみると、朝以上に観衆が増えています。続いて再び私「校長激励の言葉」(要旨)です。

 威風堂々、まさに勇ましい各部の行進です。君たちを見守る観客の皆さんも格段に増えています。それだけ保護者や地域の皆さん、各部のOBの皆さんは、君たちに期待しているのです。応援していただき、支援していただいているのです。先ほどのデモンストレーションの行進中、なにがしかの「気配」なり「存在」を感じませんでしたか。私は感じました。それは本校創立以来116年の間、それぞれの部で活躍し、全国大会を制覇し、近畿大会で優勝し、県大会を制した諸先輩の「気配」なり「存在」です。先ほど行進したのは、今ここにいる君たちだけではなかったのです。この一年間で勝ち取った栄冠と栄光を胸に、堂々と行進し汗と涙が染みこんだグランドに入場してきた君たちと一緒に、これまで1世紀以上にわたる洲高の伝統の中で、栄冠を手にしてきた幾多の先輩たちも入場してきたのです。今日この日にここにお集まりの観客の皆さんはそのことをちゃんとわかっています。ここに来れば、現在の君たちの勇姿をとおして、かつての自分に会えると知っているのです。

 体育部デモンストレーション、それは栄光とは何かを知っている者だけが集うプログラムです。常に練習に励み、心も体も、いつでも全力を出し切る用意ができている者。それが本当の勇者です。合い言葉は「Be prepared.(常に備えよ)」。なにごとに対しても、いつでも必ずやり通す準備を常にしておけという意味です。さらに進んで「さあこい、準備はできている」という積極的な意味もあります。君たちの毎日毎日の練習の目的はもちろん「勝利」です。しかし、その練習の過程において、試合で「勝利」をつかむこと以上に大切にものを身につけているのです。それを知っているからこそ保護者や地域の方、各部の先輩は惜しみなく応援し、支援してくれるのです。“Fortune favors prepared mind.”は、 フランスの細菌学者ルイ・パスツールの言葉です。「幸運は心構えのできた精神に味方する」ということ。大切なのは「心構え」です。それは全ての基本です。君たちの精進を期待します。

 十六夜の月の下で行われた「平成25年度洲本高校(定時制)体育祭」のテーマはSpring of life fever❤です。意味は「青春の熱狂」とでもいうのでしょうか。
 プログラムの一番は入場行進です。先導は、生徒会旗を持つ生徒会長。続いて、国旗・校旗を生徒会役員が捧げ持ちます。その後に、4年生、3年生、2年生、1年生と続きます。それぞれそろいのTシャツです。4年がピンク、3年が黄色、2年が黒、1年がブルー。開会式では、国歌を斉唱し、国旗の掲揚を行い、校長(私)、育友会長、生徒会長のあいさつがつづきます。なかなかのものです。

 圧巻は最終種目の全体演技。女子の「ソーラン節」のダンスです。気合いが入っていましたよ。かけ声が勇ましい。「どっこいしょ‼ どっこいしょ‼」声も揃っています。この日を目指し、4年生の女子が必死(?) になり下級生を指導したそうです。こうして伝統は受け継がれていきます。伝統とは「行事」を繰り返した「年数の長さ」ではありません。毎年繰り返す行事に、絶えずその「意義」を再確認し、そこに「自分たちのこころ」を吹き込み続けていく教職員や生徒の「営み」にこそあります。4年生はそのことを知っています。
 最後は定時制応援歌の全員合唱で、オブジェに点火します。この頃には、中空に輝いている十六夜の月の光のもと、Spring of life feverの火文字が浮かび上がります。まさしくfever(熱狂)。♪夜空を照らす 灯火は 未来(あした)を拓く大志(こころざし)♪でした。 

 以上、体育大会の話を紹介しました。
 同窓会の皆さまには、今後ともより一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

ご挨拶 学校長 越田 佳孝

2013年09月13日

 例年以上に暑かった夏休みが終わりました。同窓会の皆様には、日頃から本校の教育活動にご理解とご協力を賜っておりますこと、あらためて厚く御礼申し上げます。
 洲本高等学校では、9月2日に、全日制も定時制も二学期の始業式を行いました。
 以下は始業式での私の式辞です。

 今日から二学期です。皆さんに会うのは一学期の終業式以来ですから40日ぶりです。
 この夏は、補習、部活の試合、合宿、1年生の探究研修、2年生の未来探究東京ツアー、島まつりへの参加(洲本民謡おまあや復興会 洲高連)、そして洲本市社会福祉協議会のサマーボランティアへの参加(約100人の生徒)と、様々な体験をしたことでしょう。
 夏休みや冬休みといった長期のまとまった「休み」は、皆さんが大きく「成長」する絶好の機会です。「成長」とは、昨日に比べて今日、昨年に比べて今年の「変化」をいいます。これまでの自分に比べて現在の自分の「変化」です。夏休みは、普段の学校での生活よりも格段の成長が期待できるのです。

 私は、高等学校で学ぶということは、三つの点で成長することだと思っています。
 一つは「知識が増える」ことです。英単語や数学の公式等これまで知らなかったことを知るようになります。新しい「知識」が増えるのです。二つ目は、部活動、ボランティアという体験活動によって「視野が広まる」ことです。体験をつうじて自分とは違う行動や考え方をする人に出会います。そうすることで「そういう考え方もあるんだ」とか「こういう方法もできるんだ」と自分自身の考え方が広まるでしょう。それが「視野が広まる」ということです。「考え方」の幅が広がります。三つ目は「意識が深まる」ということ。インターシップ、ボランティア等で仕事を任されることによって「しっかりしなくては」と思い、「もっといい方法はないか」といろいろ工夫します。それが「意識が深まる」ということです。そうなれば、それは誰かに命令されてする「受け身の仕事」ではありません。「自分の仕事」です。仕事を任され「もっといい方法はないか」と思案するとき、役に立つのがこれまで学んだ「知識」であり、自分とは違う行動や考え方の人と出会うことによって身につけた「視野の広さ」です。その域に達すれば、三つの成長が統合されます。それが高等学校で学ぶということです。

 学校も成長しました。8月21日と22日の2日間、オープンハイスクールを開催しました。今年のオープンハイスクールの目玉は「体験授業」です。洲本高校での「授業」を中学生に体験してもらいました。8教科、20講座を開講しました。「漢文基礎」の国語、数学の「高校数学入門」、地歴公民科では「地理 アイスランドの地誌」「世界史 ルネサンス期」です。さらに理科、英語、情報、体育、家庭と本当に多くの講座を用意していただきました。理科では、化学の「電池と電気分解」、生物の「真核生物と原核生物」とそれぞれ実験をおこないました。さらには「時間と空間の概念」と題して、科学に関する「英文講読」の授業も体験しました。
 洲本高校のオープンハイスクールでは、学校の概要説明も、体験授業への案内、部活動見学の案内も生徒が中心となって行います。説明会の司会も生徒です。「学校の概要説明」の大役は生徒会長。前日にはリハーサルをしました。少し早口なのが気に掛かりましたが、本番は大変よかった。自分のペースで丁寧に話し、内容もしっかり伝わっていました。

 類型説明会でも話しましたが、中学生や保護者、中学の教師が関心を持つのは、洲本高校に入学すれば「何を、どのように学び、その結果どういう力がつくのか」ということです。「何を、どのように(どんな先生から)」ということを知ってもらうのが「体験授業」の目的です。すべての教科・講座で、丁寧に、しかもにこやかに、授業をしている先生自身が授業を楽しんでいることが伝わるように、授業していただくようにお願いしました。

 中学生の感想の一部を紹介します。
 まず、国語の「漢文基礎」です。

  • 一つ一つ丁寧に分かりやすく教えてくださいました。学校で学んだことの復習にもなりました。それに新しい知識を得ることができてよかったです。実際に授業を体験して、日ごろの授業の雰囲気も伝わってきました。よい雰囲気だと思います。私もはやくここで授業を受けたいです。
  • 高校で学習する内容も先生が分かりやすく説明してくださったおかげで、よくわかりました。先生は始終笑顔で、楽な気持ちで取組むことができました。

 次に数学。「高校数学入門」です。

  • 今日、学んだことだけでも考え方が広がったので、今回体験授業を受けさせてもらってよかったです。より、洲本高校に入学して勉強したい気持ちが高まりました。
  • 今回の授業で高校での数学が楽しみになりました。今は中学の授業に集中して、高校生になったら高校の授業を楽しんでいきたいです。
  • 高校の数学はどのくらい難しいのだろうと思い、数学の体験授業を受けましたが、想像よりもはるかに難しくて、正直全然ついて行けませんでした。でも、先生の説明があると分かりやすくて助かりました。高校が楽しみになりました。

 「体験授業」の目的は洲本高校での「授業」を中学生に体験してもらうことですが、本当の目的は「学ぶということはどういうことか」を自分の体で体験することです。国語の感想にもあったように、「学ぶこと」の目的の一つは「新しい知識を得ること」です。新しい知識が増える。それは成長です。二つ目が「考え方が広まる」ことです。「学ぶこと」により「こういう考え方もできるのか」と気づくこと。これも「成長」です。そして、一番の目的が「学ぶ意欲を高める」ことです。子どもたちは、「学び」への動機付けを、生まれながらに持っているわけではありません。彼らを「学び」に導くのは、大人の、そして一番身近にいる教師の責任です。
 「学ぶ」ということは「自分が何を知らないのかについて知る」ということです。子どもたちを「学び」に向かわせるには、「自分は何が知らないかを学ばせること」が一番です。しかも、その方法は、やさしく、丁寧に、です。そうすれば、わからない「数学」も楽しみになります。わかるようになる「希望」、わかるようになりたい「意欲」が生まれるからです。
 感想を書いた中学生たちは、数年前の皆さんです。感想は、幼く、ほほえましく感じますね。そう感じたとしたらそれは皆さんが成長したのです。

 以上、始業式での話を紹介しました。
 母校洲高は日々成長をしています。同窓会の皆さまには、今後ともより一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

ご挨拶 学校長 越田 佳孝

2013年08月05日

 7月、8月と暑い日が続きます。県立洲本高等学校の同窓会の皆様には、日頃から本校の教育活動にご理解とご協力を賜っておりますこと、厚く御礼申し上げます。

 学校では、7月19日に終業式をおこない、翌日から夏季休業、いわゆる「夏休み」にはいっております。夏休みといっても、補習に、面談に、部活動にと多くの教職員、生徒が学校に来ています。8月には、1年生の総合探究類型は、理型と文型に分かれての神戸大学、甲南大学等の大学、神戸新聞社・JICAなどの企業等を訪問する研修、2年生の総合探究類型でも、同窓会東京支部の皆さまのご厚意により、東京大学、外務省、株式会社メディセオ等を見学する「未来探究東京ツアー」を実施しています。

 8月の2日~4日の「第66回淡路島まつり」では、美術部が、洲本の民話に登場する「八狸(やだぬき)」をモチーフに、会場に設置される大看板(縦3.6㍍、横14.4㍍)を制作しました。また、今年も生徒会を中心に「洲本民謡おまあや復興会 洲本高校連」を結成し、島まつりに参加しました。ふるさと淡路、洲本の「文化」を受け継ぎ、保存していこうという取り組みに、洲高の生徒たちが参加し、重要な役割を果たしていることは頼もしい限りです。

 それぞれの学校には、その学校が持つ「文化」というものがあります。ここでいう「文化」とは、モノとかカタチで表わされる具体物ではなく、人間としての「行動様式の総体」を意味します。卑近な例を挙げれば、朝起きれば、顔を洗い、歯を磨く。「おはようございます」と挨拶するといった類いの、その集団の中で大切にされ、受け継がれてきたものです。
 同じものを見たときにどう感じるか。同じ場面に遭遇したときにどのように振る舞うか。同じ選択肢の岐路に立ったときにどちらを選ぶか。それぞれ人の感じ方、振る舞い方、選択の仕方は異なるでしょう。そういった判断の節目に立ったときに、ある特定の集団に属している人に、迷わずに、同じ感じ方や振る舞い方、選択の仕方といった共通の行動を起こさせてしまう「意識」の根底にあるものも「文化」ということができます。

 入学式や創立記念式でも話しましたが、116年の歴史を誇る洲本高校は、兵庫県下にあまたある他の高校とは異なる一つの大きな特徴を持っています。それは「設立された」とか「創立された」というように「受け身形」で語ることのできない存在であるということです。洲本高校は、全日制も定時制も、洲本を中心とした淡路の人々の「学ぶこと」に対する真摯な欲望が、人々の「学校をつくろう」という大きな運動を呼び起こし、その成果が実を結んで、生まれた学校だからです。その「学ぶこと」を大切にしてきたのが「洲高の文化」です。

 私の手元に佐滝剛弘さんの『国史大事典を予約した人々』(勁草書房2013)という本があります。「朝日新聞」書評欄(7月28日付)で紹介されていたので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。『国史大辞典』は、現在も、全15巻(17冊)で吉川弘文館から発行されている日本史の辞典です。『国史大事典を予約した人々』は、佐滝さんが群馬の旅館で偶然見つけた1908(明治41)年発行の『国史大辞典』を予約した人たち、約10,000人の名簿(「国史大辞典予約者芳名録」)をきっかけに、「教員の初任給」くらいする辞典を一体どんな人たちが予約したのか調べ始め、その顛末を記載した本です。名簿には、与謝野晶子、高村光雲、折口信夫らのほか、陸羯南(くが かつなん)、黒岩涙香などの言論人、金田一京助、新村出(しんむら いずる)などの著名な学者もいます。徳川、伊達、毛利といった旧大名、西園寺などの公家、琉球国王の子孫など錚々(そうそう)たる人が名を連ねています。

 1908(明治41)年発行の『国史大辞典』を予約したのは個人だけではありません。全国の神社仏閣、企業、軍隊や学校も予約しています。その「芳名録」の津名郡の欄(当時は津名郡洲本町だった)に記載されている購入者10人の中に「洲本中学校」があるのです。さらに、本校の図書館には「淡路高等女学校」の所蔵印がある『国史大辞典』が残されています。これは、旧制の高等女学校が刊行直後に直接購入したことを表わす「貴重な記録」であるため、佐滝さんの著書の152頁に画像が掲載されています。もちろん、当該頁の本文には、「また、洲本高校では、洲本中学校から引き継いだ本だけでなく、芳名録に記載のない淡路高等女学校(1903年開校、戦後洲本中学校とともに新制洲本高校となる)の蔵書印のある本も所蔵されているなど、旧制中学校が購入した本にも、百年を超える星霜を耐えてきたものがある」(同書152頁)と「洲本高校(旧制洲本中学校)」の名前が出てきます。

 洲本高校の歴史は、「学ぶこと」の大切さやすばらしさとはどういうものかということを、身をもって知っている者自身による、「学ぶこと」に対する押さえうることができない欲求・衝動で始まりました。それが、100年以上も前に、当時の「教員の初任給」ほどもする高価な辞典を買わしめたのです。洲本高校は、創立以来これまでの116年、そんな学校であり続けてきましたし、これからもそんな学校であり続けなければなりません(Always has been,and always will be.)。私たち世代に課せられた使命は、それを受け継ぎ、さらに次の世代にそれを受け渡していくことです。それが、歴史であり、伝統であり、それを守り、伝えていくことが、今を生きる私たちの「誇り」です。私はふるさと淡路の「島まつり」に、大看板の制作、「おまあや洲高連」の参加等で貢献している洲高生を「誇り」に思います。
 同窓会の皆さまには、今後とも一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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